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松田染物店 320年の歴史を彩る大漁旗

松田染物店は、1702年(元禄15年)に鳥取県米子市紺屋町で創業し、320年以上の歴史を持つ老舗染物店です。当初は藍染めを専門とする「紺屋」として始まり、長い年月を経て、その技術を代々受け継ぎながら、のれんや大漁旗、はっぴ、神社幕、祝い旗、風呂敷、手ぬぐい、タオルなど、さまざまな製品を手がけてきました。現在では全国各地からご注文をいただき、多くのお客様に信頼される染物店として親しまれています。

松田染物店の特長は、伝統的な染色技法を守りながらも、現代のニーズに応える柔軟さにあります。特に、明治時代に取り入れた「筒描き染め」の技術は、鳥取県内で唯一受け継がれており、細やかな手作業による温かみと独特の風合いが際立っています。この技法を用いた製品は、職人の熟練した技術と想いが込められており、一点一点が他にはないオリジナルな仕上がりです。

また、当店は鳥取県伝統工芸士の認定を受けており、現在は13代目の父を中心に、祖母や14代目となる私が加わり、家族で店舗を支えています。長い年月の中で培われた確かな技術と、新しい感性の融合により、お客様に感動を与える商品づくりを目指しています。

大漁旗の由来と歴史的背景

大漁旗は、日本の漁業文化を象徴するアイテムとして知られています。その起源は、漁船が豊漁を祝うために掲げた旗に遡ります。地域によって「フライキ」「福来旗」と呼ばれることもあり、その名称には地域特有の文化や風習が反映されています。

歴史的には、平安時代の「船印」がその原型であると考えられています。船印は、漁船や商船を識別するために使われた旗で、豊漁を祈る象徴としても機能していました。また、南北朝時代には瀬戸内海で活躍した村上水軍が、軍船を区別するために旗を掲げたという説もあります。その後、江戸時代中期には、現在の大漁旗に近い形式が使用されるようになり、漁業の繁栄を祝う文化として定着しました。

大漁旗には「大漁」「祝大漁」といった文字のほか、日の出、魚、宝船、恵比寿などの縁起物が描かれるのが一般的です。これらのデザインには、単に豊漁を祝うだけでなく、家族の繁栄や地域の平和、幸福を祈る意味も込められています。

現代における大漁旗の役割

かつては漁業の豊漁を知らせるための目印として使われた大漁旗ですが、現代ではその用途が多様化しています。漁業の枠を超え、祝い事や地域の行事で広く使用されるようになりました。たとえば、出産祝いには、生まれた子供の健やかな成長を願うメッセージとして大漁旗が贈られることがあります。名前や生年月日を入れたデザインが加わることで、世界に一つだけの特別な贈り物として喜ばれています。

結婚式では、新郎新婦の門出を祝う象徴として大漁旗が用いられることが増えています。華やかなデザインと縁起の良い絵柄が、会場を盛り上げ、写真撮影の背景としても映えると人気を集めています。また、地域の祭りやイベントでは、大漁旗が装飾として掲げられることで会場全体が華やかな雰囲気に包まれます。

震災後の復興祈願イベントでは、地域の連帯感を高めるシンボルとして大漁旗が使われています。力強いデザインが希望と活力を象徴し、多くの人々に元気を与える存在となっています。このように、現代の大漁旗は、単なる装飾品ではなく、心を繋ぐ特別なアイテムとしての役割を果たしています。

大漁旗へのこだわり

松田染物店では、大漁旗を伝統と創造の結晶として捉え、一枚一枚を丁寧に手作業で仕上げています。当店の大漁旗は、筒描き染めの技術を活かし、手作業ならではの温かみと独自の風合いを大切にしています。筒描きは、渋紙(しぶがみ)の筒にもち米や米ぬかなどを混ぜて作った糊(のり)を入れ、筒の先から糊を押し出して布に線や模様の輪郭を描き、生地を染料で色付けした後、糊を洗い流すと、糊の部分が白く浮かび上がるという技法です。このような技術は、機械では決して再現できないものです。

※渋紙:はり重ねた和紙に柿渋を塗って乾かしたもの。

筒描きでの染色品は、手染めならではの風合いが出て、仕上がりがとても鮮やかになります。筒描き染めで作る製品の中で最も多いのが大漁旗ですが、他にも社旗や団旗、校旗などがあります。最近では大漁旗に使われる派手な色合いと宝船や七福神、タイなど縁起がいい絵柄が結婚や新生児誕生などの贈り物にも好まれるようになりました。

筒描きに用いられる防染糊は、作り方や成分はそのお店によって流儀があり奥が深いものです。天候によって糊の固さを調整しますが、その分量は決まっていないため、まさに職人の経験と勘がものをいいます。

さらに、生地には、耐久性と発色の良さを兼ね備えたシルケット天竺やシャークスキンを使用しており、屋外での使用にも耐える頑丈な仕上がりです。さらに、顔料染料や反応染料を用途に応じて使い分けることで、鮮やかな色彩を長く保つことができます。たとえ日光や雨風にさらされても、その美しさは衰えません。

多彩なデザインが可能です

松田染物店では、大漁旗のデザインにおいてもお客様の個性を反映することを大切にしています。日の出や魚、宝船などの伝統的な縁起物を組み合わせるだけでなく、船名や家紋、特別なメッセージを取り入れることで、完全オリジナルのデザインを提供します。

また、色彩の組み合わせや模様の細部まで徹底的にこだわることで、見る人に感動を与える一枚を制作しています。たとえば、結婚式では新郎新婦の名前を入れた旗、出産祝いには赤ちゃんの名前を入れた旗が人気です。これらは、ただの装飾品ではなく、一生の記念品として大切にしていただけます。

オーダーメイド大漁旗の特長

松田染物店のオーダーメイド大漁旗は、お客様のご要望を丁寧に伺い、世界に一つだけの製品をお届けすることを目指しています。具体的には、以下のような特長があります。

職人技による高品質な仕上がり
手作業で染め上げることで、色の濃淡や模様の質感に独自の個性が生まれます。同じデザインであっても、製品ごとに少しずつ異なる表情を楽しむことができます。

高耐久性と美しい発色
屋外での使用にも耐える生地と、色褪せしにくい染料を使用することで、長期間美しさを保つことが可能です。

幅広い用途への対応
個人の祝い事から企業の記念イベントまで、多様なシーンに対応したデザインが可能です。

松田染物店が届ける想い

松田染物店では、大漁旗を日本の伝統文化と現代の生活を結びつける重要な存在と捉えております。一枚一枚の旗には、職人たちの技術と情熱が込められており、特別な日の思い出を鮮やかに彩るお手伝いをしています。

当店のオーダーメイド大漁旗は、お客様のご要望を丁寧に伺い、世界に一つだけの製品をお届けすることをお約束します。記念日や節目に、大漁旗の持つ力強さや明るさで、お客様の人生をより豊かに彩りませんか。特別な日の思い出に、心を込めたオーダーメイド大漁旗をぜひご利用ください。

その美しさと価値を、きっと実感していただけるはずです。皆様のご来店を心よりお待ちしております。